■ Exhibition  
 
渋谷敏広 写真展
「静寂という存在」
―東欧・北欧の旅で出会った風景―
2008年 9月6日(土)〜 9月27日(土)
14:00〜18:00<入場無料>
営業日 月曜日〜土曜日
(但し月曜日〜水曜日は予約制となります)
休廊日 日曜日・祝日
渋谷が求めるものは人々を瞑想の世界に誘うような静かな風景です。静寂は自己に内在するより大きな意識となって、野も川も木も花も建物も心の内側では一つにつながります。

© Toshihiro Shibuya
 
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 ▼ テーマと経歴
 当ギャラリーにとって初めてとなる地元名古屋市出身の写真家・渋谷敏広の展示会を開催します。渋谷敏広は、自然や風景に心を寄せる写真家です。この展示会では、1990年代に渋谷が東欧や北欧を旅したときに出会った風景の中から、普遍性と永遠性がより深く共鳴し、記憶の深淵に浸透する作品をセレクトしました。
 渋谷の写真を支配するものは、抑制と静謐です。シンボリックな被写体を配置し、見る人の気を引くような強引さは微塵もありません。過剰も新奇もない分、渋谷の視線に映し出される風景には彼の知覚の本質がよく表れています。
 渋谷が求めるものは、作品に触れた人々を瞑想の世界に誘うような静かな風景です。静寂という存在の「強さ」や「尊さ」を知る渋谷だからこそ、そこに深いやすらぎと平穏を感じとるのです。静寂は自己に内在するより大きな意識となって、野も川も木も花も建物も心の内側では一つにつながります。典型的なヨーロッパの風景を撮りながらも、日本的な落ち着きや無常感が作品から伝わってくるのは、渋谷が日本人という自覚の奥深い部分でシャッターを切っているからです。
 息苦しくなるほど自我がぶつかり合う現在は、アートにもより強い個性や過激さが求められています。刺激を好み、時間を急ぐ現代人にとって、抑制の効いた渋谷の作品が醸しだす佇まいは瞬時に知覚されるものではありません。
 しかし、渋谷の作品には、そんな現代人の足を止め、しばし立ち止まらせる磁力があります。渋谷の作品を目の前にした現代人は、静寂という存在の強さを知ることとなるのです。
 渋谷の作品を見ていると、幾層にも積み重なった自己顕示欲が薄まっていくのが実感できます。競争社会、格差社会にどっぷり身を置くうちに垢のようにたまった排他的な自我をやわらげてくれるような気がします。やすらぎが満ちて開放感さえ覚えます。渋谷の写真には、人間の存在を無条件で包み込む無限の広さと奥行きがあるからではないでしょうか。渋谷の作品を覆う静寂は、私たちの心の深部につながっています。

最後に渋谷が東欧・北欧の旅で綴ったメッセージを紹介します。

かたち、ひびき、偲ばれる記憶むかし・・・。
物の存在はモノトーンに変換され別の何かに昇華する。
想いを馳せて見つめる写真は、ここでないどこかに通じる窓になる。
 
 ▼ 展示内容
「静寂という存在」シリーズ
○モノクロ銀塩プリント24点
○デジタルプリント5点    合計29点(予定)
 
 ▼ 販売物
○モノクロ銀塩プリント24点(作家サイン・エディション入り)
○デジタルプリント5点(作家サイン・エディション入り)
○デジタル・ミニプリント20点(作家サイン・オープンエディション)
 ※ミニプリントは額装のうえ即売にてご提供
 
 ▼プロフィール

1962年愛知県 名古屋市生まれ。
写真を趣味にしていた叔父の影響で子供の頃から写真に興味を抱く。
暗室モノクロプリントは中学時代から体験。
専門学校 日本デザイナー学院写真科卒業後、写真家詫間喬夫氏主宰ワークショップ  T&T 受講。
1983年頃、カメラ毎日公募ページ『アルバム』に掲載を重ねる。
広告スタジオ勤務を経てフリーカメラマンとして独立。
写真講座の講師も務めながら作品づくりに精力的に取り組む。
名古屋市生涯学習センター・青年の家・栄中日文化センター など。
講座修了後の有志で2003年『photo circle Sui』 結成。
月1回の定例会と年1回の写真展をプロデュース。

■ 写真展
1995年 個展“Go Went Gone”コニカプラザ 東京・大阪・札幌
    * 北海道鉄道廃線跡をモチーフにセピア調色を施したモノクロプリントを展示
1998年 個展“monophony”東京虎ノ門・フォト ギャラリー インターナショナル他
     グループ展多数

 
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